ピロリ菌とは

ピロリ菌とは

胃がんの原因はほぼピロリ菌の感染が原因です。主に幼少期に感染します。感染源としては井戸水を飲んだ飲水経験によるもの、家族内での経口感染などが考えられています。多くのがんは生活習慣病や遺伝素因、原因不明など様々な要因が考えられますが、胃がんは、菌の感染が原因なので、なんと自分で対処できるがんなのです。菌ということは、抗生物質で対処することができる(除菌といいます)ので、お薬を飲むことでがんを予防することができるともいえます。
そのため、自分が感染しているかをまず知ることが大切です。知る方法には血液検査や尿検査、便検査などいろいろあります。(当院では1番精度の高い尿素呼気検査を推奨しております。)そして、生きているピロリ菌に感染していることがわかれば、お薬を1週間内服することで胃がんを予防することができるのです。

ピロリ菌と胃がん発生の関係

ピロリ菌は胃の粘膜を薄くして(萎縮といいます)、胃潰瘍、胃がんを起こします。ピロリ菌の感染年数によっても、胃の粘膜委縮程度は人それぞれです。そのため、除菌したときに、既に胃がんが発症開始していることもあります。わかりにくいですが、除菌したら2度と胃がんにならないわけではない、ピロリ菌除菌が胃がんにならないゴールではないということがやっかいですね。
どの段階で、ピロリ菌に影響を受けた萎縮粘膜からがんが発生するかは不明、人それぞれなので、年に1回程度の胃カメラや胃バリウム検査を定期的に行っていくことが大切となります。
内視鏡医として大切なことは、上記のことを患者さんに伝え、定期的な胃の健診が必要ですよと伝えることが自分の使命と思っております。
実際、ピロリ菌をやっつけたにもかかわらず、胃がんを発症される方は存在しており、昨今の学会でも、ピロリ菌除菌後の胃がん発生も議論にあがっています。当院でも開業3年で年に2人程度の患者さんが早期胃癌と診断されています。ただし、除菌後に発見された胃がんは小さいサイズであることが多く、結果的に早期胃癌と診断され、内視鏡的に治療が行えているケースが多く、除菌すること、定期的な胃の検査を行っていくことが必要十分条件だと考えられます。 感染歴のある方は、今後も定期的な胃の検査を続けてください。

名古屋市のピロリ菌検査について

  1. 名古屋市内に居住地を有す20歳以上39歳以下の方:ピロリ菌抗体の血液検査(無料)
  2. 名古屋市内に居住地を有す40歳以上59歳以下の方:胃がんリスク検査(500円)

→ピロリ菌抗体の血液検査とペプシノゲン検査(ABC検査と同一)
※この検査が対象外の方もいらっしゃるので、名古屋市のHPを確認されるか医師にご相談ください。

ピロリ菌抗体検査陽性とは

過去に感染歴のある方は陽性となります。ただ、数値によって今感染しているのか、過去の感染歴のためかは、正確には判断できません。また、除菌判定にも向きませんので、「過去に除菌薬を飲んだのに、また今年の健診でひっかかっちゃったよ、また感染したのかな?」と相談されることがあります。除菌したことで、数値が下がる人もいますし、正常域へ下がりきらない方もいるので、除菌判定を正確にされた経験のある方は、抗体検査の数値や健診の指摘は気になさらないでよいと思います。今後も定期的な胃の健診をしていくことを心掛けていただければと思います。

ペプシノゲン検査とは

ペプシノゲンは、胃で作られるたんぱく質分解酵素のもとになる物質です。胃粘膜の萎縮が進むとペプシノゲンが低値となるので、ペプシノゲンが低値だと、萎縮性粘膜を有している可能性が指摘できます。(実際にはペプシノゲンⅠとⅡの比で数値を求めます。)もともとペプシノゲンが低値の方もいらっしゃいます。ペプシノゲン検査がひっかかり、胃カメラをして萎縮性粘膜がその時点でなくても、今後も定期的な胃カメラ検査は勧められています。

Q1:除菌薬は副作用が強いと聞きます。主にどんなものがありますか?

下痢や湿疹があげられます。軽い副作用の症状の方がほとんどですが、一部ひどい副作用が出る方もいらっしゃいます。抗生剤が含まれる除菌薬のため、ペニシリンアレルギーの方などでひどい発疹が出る場合もあります。どういったメニューの除菌薬がいいのか、除菌の適、不適は医師との相談になります。アレルギー体質の方は医師にお伝えください。 副作用が、飲み始めてどのタイミングで出るかは、飲んでみないとわかりません。旅行前や大事なイベントの前の内服開始はお勧めしておりません。

Q2:除菌の薬と飲み合わせが悪い薬はありますか?

除菌薬に抗生剤や胃薬が含まれていますので、それらの薬をのまれている場合は、除菌薬の処方は行っておりません。かならず今内服している薬がありましたら、医師にお伝えください。薬ではありませんが、除菌薬内服中の飲酒・喫煙は除菌成功率を下げますので、中止するようにしてください。

Q3:胃カメラが怖いので、血液検査だけ希望してもいいですか?

名古屋市の検診を除いて、保険診療で血液検査だけを希望はできません。自費診療ですと可能ですので、一度医師にご相談ください。ただし、内視鏡検査をしない方の保険診療での除菌薬処方は認められていませんので、処方はできませんのでご了承ください。なぜかというと、何度もお伝えしていますが、除菌薬を飲むことがゴールではないのです。胃がんを発症しないかの経過をみつづけることが大切なのです。除菌薬を飲んでもあくまで胃がんのリスクが下がっただけですので、定期的な胃の健診を今後も行うようにしてください。 消化器内科医でなければ、なかなか上記の話しを理解していない方も多いので、わからないことは何でもご相談ください。

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